スマートビルの堅実な省エネ -meccエコオフィスツアー:キャノンマーケティングジャパン編

 みなと環境にやさしい事業者会議(mecc)が8月25 日に実施した「mecc エコオフィスツアー<第一弾>」では、1ヵ所目のコクヨ株式会社の見学に続き、2か所目の見学先としてキャノンマーケティングジャパン株式会社を訪ねました。場所は、コクヨさんと同じく品川の港南エリアです。

 本社が入る「キャノンS タワー」は2003 年4 月に竣工された「省エネビル」。当初から、同規模のビルよりも10%以上の省エネ設計とあって、さらなる省エネは「乾いた雑巾を絞るようなもの」と思ったと、取り組みをはじめた2008 年当時を振り返るところからお話が始まりました。

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 それでも、設備投資はせず運用だけで改善を重ねた結果、3年間で1 次エネルギーの使用量を24.6%減らし、4400 万円のコスト削減に成功したとご担当者。どんな特効薬があったのかと思いきや、小さな努力の積み重ねが大きな成果を結果を生んだことを、この日は率直にお話をしてくださいました。
 省エネに向けた対策は、地下4 階から地上28 階までを自身の足で歩いて回り、現状のリストを作成して共有するという地道な取組みから始まりました。

 例えば外灯の点灯・消灯時間を改めて調べ、従来の時間を日の出・日の入りの時刻に合わせたところ、点灯時間は30 分の短縮に。また、夏季の冷房運転は実験を行ない、給気温度と風量を同時に下げるほうが、温度設定を上げて風量を上げるよりもエネルギー量が減ることが判明しました。

 2 年目になると、1年目の活動の積み重ねを「省エネ運転マニュアル」としてまとめて配布。そうしたところ、省エネ効果がさらに向上するとともに、社員の参加意識が高まったといいます。

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 さらなる節電に取り組むことになった2011年度は、これまで3 年間の運用による礎を基に設備投資を開始。節電に取り組んできた前年よりもさらに、20%の削減を目指していらっしゃいます。

 自分の目でひとつひとつ確かめ、あきらめることなく、小さなこともないがしろにせずに真っ直ぐに取り組む同社の姿勢に、大いに刺激を受ける時間となりました。なにより、自らが取り組む課題に誇りを持ちながら、前向きに、着実に、取り組む姿勢に感銘を受けました。
 貴重な時間をいただき、ありがとうございました。

(レポート:松田慶子)