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11月8日(木)開催 企業と環境展2012オープニングセミナー「地球環境とエネルギービジネスの未来」第二部 事例発表・パネルディスカッション

事例発表「エネルギービジネス さまざまな挑戦とその可能性」

■第二部

事例発表・パネルディスカッション「エネルギービジネス さまざまな挑戦とその可能性」

【発表者】

東京ガス株式会社 中央都市エネルギー部  清 幹広 氏

株式会社 日本スマートエナジー 代表取締役  吉田 麻友美 氏

Value Frontier株式会社 代表取締役  石森 康一郎 氏

みんな電力株式会社 代表取締役社長   大石 英司氏

【コーディネーター】 「オルタナ」編集長  森 摂 氏

※本イベントの開催概要についてはこちらをご覧ください

※前半の基調トーク「地球環境とエネルギービジネス」も、ぜひどうぞ合わせてご覧ください。

 

【内容ダイジェスト】

<東京ガス株式会社 中央都市エネルギー部  清 幹広 氏>

東日本大震災以降、エネルギーを取り巻く環境が大きく変化してきました。2012年9月には、「革新的エネルギー環境戦略」がエネルギー・環境会議で決定され、再生可能エネルギーを3倍以上開発していくこと、またコージェネレーションシステム(CGS)を2030年までに今の5倍にしていくことなどが盛り込まれています。また、東京都では「2020年の東京」という長期ビジョンにおいて、アジアのヘッドクオーターとしての東京の国際競争力強化とあわせ、エネルギー政策の中でCGSを推進しています。CGSとは自立分散型エネルギーシステムの一つで、発電の際に捨てられる熱を再利用していくことで、総合的な省エネ化を図ろうという仕組みです。家庭用燃料電池「エネファーム」など、日本の火力発電所の平均発電効率40%を超える発電機(CGS)が、次々と開発されています。こうしたシステムが街の中や家庭に導入されていくようになると見込んでいます。

また、東京ガスが提唱する次世代エネルギーシステム「スマートエネルギーネットワーク」は、高効率な天然ガスのCGSを導入し、再生可能エネルギーや未利用エネルギーの利用拡大と、情報通信技術(ICT)を組み合わせることで、エネルギーの高度利用を図るものです。今後は、災害時や有事の時のエネルギーセキュリティを向上するため、エネルギー源を多様化させておき、エネルギー供給を継続する補完体制を作ることも必要です。これからは、開発エリアごとに分散型電源や再生可能・未利用エネルギーを利用できるようなシステムの導入、それらをICTを活用しうまく制御するという技術の活用が求められると思います。

「スマートエネルギーネットワーク」のモデルとして、田町駅東口北地区でエネルギーを一体的に制御する統合的なシステムの導入を計画中です。スマートエネルギーセンターでは、高効率なCGSの他、太陽光発電、太陽熱パネル設置による太陽エネルギーの回収、さらには地下トンネル水の熱を未利用エネルギーとして活用しようと試みています。この先、隣地の開発が進めば、もう一つエネルギープラントを作り、熱や電源のネットワークを拡張することで、さらなる省エネ・省CO2を目指していきたいと思っています。

東京ガスの磯子にある社宅では、建て替えを機に屋上やバルコニーで太陽熱を回収するような機器、太陽光発電やエネファーム等の分散型発電を導入し、電気・熱を住戸間で融通しています。住民には省エネ行動をアドバイスするなどして、どれだけ低炭素の効果があるか実験しております。

今後、街区レベルや建物レベルでの取り組み等で実績を積み、今までの枠組みを超えた新たなソリューションの提案・提供を通じて、低炭素社会へ貢献していきたいと思っております。

 

<株式会社 日本スマートエナジー 代表取締役  吉田 麻友美 氏>

本日は、「土佐くろしおソーラー発電事業」についてご紹介させていただきます。この事業は、高知県土佐清水市の足摺岬という太陽光発電に適した場所で計画されているメガソーラー事業です。今年中に申請できれば、今年7月に始まった固定買取制度で1kWh あたり42円で四国電力に買い取ってもらえる予定です。今回の建設予定地は長期間使われていなかった元紅茶畑の土地です。事業地の広さは35,000平米、発電量は1.8MWとなる予定です。足摺岬は日射量が西日本一と言われるため、収益性の高い事業になると見込んでおります。

土佐清水市は南海トラフ地震の被害が予想される地域として有名になり、最大34メートルの津波が襲う恐れがあると報道されましたが、建設予定地は海抜80メートルであり津波の被害を受ける心配はありません。実際に、低地から海抜の高い建設予定地周辺へは、宅地造成し、学校も移動しようとしています。

この事業の特徴は、市民から出資を募って事業を行い、事業から生まれた収益を分配するという市民ファンドの仕組みを利用することです。総事業費7.5億円の内、4億円超を金融機関から、3億円弱を市民ファンドで募ろうと計画しております。出資についての説明会を土佐清水市、高知市内、東京都で開催する予定ですので、出資に関心ある人、市民ファンドについて学びたい人はぜひ参加してほしいと思っております。

ただ、市民ファンドの実現は現時点で難しいと感じております。1口50万円の予定なのですが、環境に関して詳しくない土佐清水市の個人の方に10年間預けることを、理解していただくのはなかなか難しいのが現状です。地域へ還元できる価値として、この事業を地域の環境教育に使ってもらう機会を当社が提供していったり、このプロジェクトをPRしていくことで、土佐清水市の全国的なPRにもなることを押し出したり、と丁寧に説明していきたいと思っております。

また、出資者限定のプレミアムツアーで、土佐清水のみでなく、高知県内の豊かな森林資源や四万十川などの河川資源、発電事業を見学していけるツアーを企画しております。これらのメディアへのPRやツアー、普及活動を活用しつつ、成功させる市民ファンドのモデルをつくっていけるよう努めてまいります。

 

<Value Frontier株式会社 代表取締役  石森 康一郎 氏>

熊本県南阿蘇村は、人口12,000人、世帯数は4600世帯、地域面積の3割は農地、6割は山林という風光明媚な村です。元々環境意識は高く、H19年度に南阿蘇バイオマスタウン構想を策定しました。同構想では廃棄物系バイオマスの80%以上を利用し、未利用系バイオマスの利用率を40%以上にする、といった目標を掲げております。

3.11以後市民の中でエネルギーを作ろうという機運が高まり、関東からの移住者による新たな風も加わってきた中で、30代の農家の女性がエネルギー創出プロジェクトを立ち上げ、本日に至ります。家畜糞尿・生ゴミのバイオガス化は、発生させたバイオガスを温水や蒸気ボイラーで熱利用したり、発電、燃料として利用しようという取り組みです。また、発酵の過程で生じる液肥の利用にも取り組みたいと思っております。

家畜糞尿と生ごみのバイオガス化に向けて、H24年度環境省による地域主導型再生可能エネルギー事業化検討委託業務に応募し、採択されました。地域のエネルギー事業を、地域参加型でやっていこうというスタンスで進めていますので、協議会には村議会議員をはじめ、畜産農協、農協、森林組合、婦人会、商工会、観光協会、村役場、企業、大学、農家、NPOなど、幅広いステークホルダーが参加しています。また、発起人の30代の農家の女性によるガイドでドイツのバイオエネルギー村を視察いただいた熊本県の副知事にもご参加いただいています。参加者には、事業化に参加できる、自分の声が反映される、ということに喜びを感じていただきながら参加していただいております。

しかし、このように様々な方々に参加していただく中で、バイオマスだけでなく、メガソーラーをやってみたい、小水力をやってみたい、エネルギーよりも雇用創出を、阿蘇の自然・景観を守ってほしい、など様々な意見が出されますが、それらを一つに集約するのは大変に困難です。ですが、地域主導で事業を進めていくことが、持続可能な事業を行う上で重要となります。ですので、今後の地域内・住民間での合意形成がキーとなり、我々にとっての大きなチャレンジとなると認識しています。

困難なことは多々待ち受けていると思いますが、Facebook等を通してこの事業の進捗を発信していくことでローカルな取り組みについて関心を持っていただき、さらに、何らかのレッスンラーニングを双方向で情報交換していければ、よりよい形なのではないかと考えております。

 

<みんな電力株式会社 代表取締役社長 大石 英司氏>

この会社を立ち上げたきっかけとして、エネルギーというテーマに関しては、大企業が大きな投資をするなど新聞紙上などで盛り上がっている割には、一般の人にとっては身近に感じられず、貢献したいのにどう関わっていいかわからないなどの問題意識がありました。しかし現実には、一部の人がエネルギーを独占する時代ではなくなっている。そこで、地域でみんなで電力を作ろう、ということでみんな電力という名前で事業を立ち上げました。

私たちが電力をつくるには、省エネで減らして作る、太陽光や風力などで自ら作る、という2つの作り方があります。減らして作るについては誰でも参加できることです。エネルギーのアドバイザーとして振る舞っていきたく、主に以下の事業を行っております。

まず、メディア事業としてenetomoというサイトを開設し、一般ユーザーのみならず法人向けにもエネルギーのアドバイスをしております。家庭用電力を自由化しようというプロジェクトを世田谷区と協働しております。次に、法人向けアドバイス事業として、省エネ、創エネということで、工場などでどれくらいエネルギー資産が眠っているのか、試算・査定し、省エネ・創エネに関するアドバイスをしております。また、個人向けに手のひら発電事業を行っております。これは「空野めぐみ」と言う携帯型ソーラー充電器にICチップを導入したもので、発電した電力に応じてポイントが付き、ポイントに応じてエコグッズがもらえる仕組みです。そして、エネギャルプロジェクト事業です。エネギャルと呼ばれる彼女たちが、太陽光で一生懸命作った電力を通常の3800円ではなく5,800円で買ってもらえないか、などと電力自体に付加価値をつけていくということにチャレンジしています。

 

● パネルディスカッション

<森さん>

港区のエネルギーに関係する先進的な会社として、それぞれこれからどういう価値を創出していきたいのでしょうか?

<東京ガス・清さん>

社会の要請に応えていく中で、エネルギーサービスという事業領域を拡大し、付加価値を付けたサービスの提供をビジネスとして成長させていきたいです。

<スマートエナジー・吉田さん>

中小企業でも排出権を作り出せる仕組みづくりやカーボンカウンセラーの育成などを行ってきた実績を活かし、市民ファンドの活用などで、市民へ気づきを与え、アクションを起こせるような場を提供していきたいです。

<Value Frontier・石森さん>

市民の力やみんな電力さんがお話しされたギャルなど一見関係がなさそうなものでも、経済の仕組みに入れることで、世の中を変えていけるような新たな価値・イノベーションを提供できればと思います。

<みんな電力・大石さん>

エネルギーにサービスレイヤーを増やして付加価値をつけ、多様性を提供することにチャレンジしていきたいです。

 

<森さん>

エネルギーというものは人々の暮らしや企業活動と直結しています。では、エネルギーと地域おこしの密接な関係についてはどう思いますか? 

<東京ガス・清さん>

震災以後、家庭から、建物、街などに広がったエリアで防災面・環境面なども含めて、一括でエネルギーをマネジメントしていく組織が求められていると思います。

<スマートエナジー・吉田さん>

発電やエネルギーで町おこしという発想は、情報量の多い都会にいると非常に「よく分かる!」と思いがちですが、土佐清水に行って話をしても、みなさんピンと来てくれない。それが現実なのかな、と課題を感じてもいます。

<Value Frontier・石森さん>

南阿蘇村ではエネルギー創出事業を作るという切り口で集まっていますが、このエネルギー創出の議論を通じてコミュニティを強くしていくことが大事だと思います。

<みんな電力・大石さん>

プレミアム価格で買い取ってくれるPPSが多いので、地域の発電事業とPPSをセットで考えると、電力の地産地消ということも今後考えられるではないでしょうか。

※PPSとは、特定規模電気事業者(power producer and supplier)のことで、電力供給を事業とする会社のうち、一般電気事業者には該当せず、50kw以上の高圧電力を必要とする需要家を対象に、電力の小売供給を行う事業者。電力自由化によって可能になった業態である。

<森さん>

PPSが1kw42円以上で買うと、コストがかかりませんか?

<みんな電力・大石さん>

42円というが、34.46円は税金(費用調整機関)が充当されているので、42円に0.5銭上乗せしても、十分採算が合います。このPPSが高く買うという話は、なぜかみんなに知られていないのです。

 

<森さん>

電力は規制業種と言われているが、みなさん、法律の縛りでここは何とか改善してほしい、ということがあるように思うが、どうでしょうか?

<東京ガス・清さん>

電気事業法等の法改正の中で、安価な電力が生まれてくるのであれば、電気事業体でなくても近隣に電力を配れるような制度があると、より自立分散電源が広まっていくのではないでしょうか。

<スマートエナジー・吉田さん>

小水力発電所に必要な水利権の取得など、許認可手続きを迅速にして欲しいです。また、役所の縦割りをどうにかし、ワンストップで手続きできる専門の課をつくって欲しいです。

<Value Frontier石森さん>

自治体職員の配置転換があって、組織のナレッジとしての蓄積がなく、担当者が交代するごとに説明するのは、非効率です。政策レベルでも、何年先も見通せるようなものが必要なのではないでしょうか。

<みんな電力・大石さん>

日本には集合住宅が4割。集合住宅向けにソーラーを付けるような政策・法的整備が必要です。42円の固定買取制度はいつまで続くのか、グリーン減税は来年度もあるのか等、早めの告知が重要です。

 

会場参加者からの質問タイム

<質問者>

311以後、企業が変わるような気がしたが、なぜ大企業は変われないのでしょうか。また、地方のまちおこしの事例が多数出てきていますが、都市でのエネルギーの将来像はどうなっていくのでしょうか。

<東京ガス・清さん>

変化はすぐに見えてこないだけだと思います。都市については、低炭素と高度防災は切っても切り離せません。開発エリアごとに、ガスの高度利用と、再生可能エネルギー、未利用のエネルギーの活用がポイントになっていくと思います。

<スマートエナジー・吉田さん>

太陽光や小水力など、発電に使える地域資源は多数眠っており、エネルギーと地域おこしの未来像は明るいはずですが、時間がかかります。まずは実例を示すことで次が続いてくるのではないでしょうか。

<Value Frontier石森さん>

なんとなく日本人は熱しやすく冷めやすいと感じます。将来のエネルギーを考えるには今の追い風にどう乗っていくかが重要ですが、用地買収含めて、合意形成には非常に時間がかかり大変です。

<みんな電力・大石さん>

地域の人が資源に気付いていません。住民の方も合意形成、実践の方法がわからないといったことがあるので、啓発は非常に重要だと思います。

 

<質問者>

農地の転用の問題が、自然エネルギー活用の障壁になっているということはないでしょうか?

<スマートエナジー・吉田さん>

土佐の茶畑については、何故か、登録が幸いにも農地ではありませんでした。しかし、一般的に再生可能エネルギーの発電事業のための農地の転用が課題であるとは認識してはいます。

<Value Frontier・石森さん>

事業化に向けた検討段階なので、農地に建てるかどうかまで具体化していません。農地転用する場合、どんな問題があるのか洗い出し、解決策を見出していきたいです。

 

<質問者>

多くの企業・メーカーはどんどん雇用が減っているなかで、新電力事業の雇用創出の可能性について教えてほしいです。

<みんな電力・大石さん>

法人向けのエネルギーアドバイズのコールセンターでは、知識がある人に雇用が生まれます。太陽光販売側では、営業面やセールス面などでも人材のシフトがあるのではないかと思っています。

<Value Frontier・石森さん>

バイオマスは、太陽光や小水力と違い、原料(家畜糞尿や生ゴミ、木材等)が必要なわけで、その収集・運搬において雇用が発生するでしょう。また山に手を入れる、ということで、そこにもお金が回り、雇用が創出されるように、とも考えています。

<スマートエナジー・吉田さん>

発電事業自体では雇用は生まれませんが、自前で発電を行うクリーンな町だと地域のPR材料となり、観光業ほか他の産業が潤うという可能性もあるのではないでしょうか。

 

<森さん>

雇用の面では様々な展望があると思います。日本の家屋のリフォームに関する技術、それらを海外に輸出することも可能かと思います。一つの技術の革新ではなく、自治体として進取の気質が生まれれば、様々な産業が育って行くと思います。日本はここ20年、イノベーションを置き去りにしてきました。それがブレイクスルーできるのは、エネルギーなのではないかと思います。自治体・国家・企業・市民も、それぞれ競争の中で価値を高めていかなければならない時期にきているのではないでしょうか。