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11月8日(木)開催 企業と環境展2012オープニングセミナー「地球環境とエネルギービジネスの未来」第一部 基調トーク

飯田哲也氏×森摂氏トーク「地球環境とエネルギービジネス」

■第一部

基調トーク「グリーン経済とエネルギービジネス」

【講師】認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所 所長 飯田 哲也氏

【聞き手】 「オルタナ」編集長 森 摂 氏

※本イベントの開催概要についてはこちらをご覧ください

※後半の事例発表「エネルギービジネス さまざまな挑戦と可能性」もぜひどうぞあわせてご覧ください。

 

【内容ダイジェスト】

<森さん>

フィードインタリフ(固定価格買取制度)が2012年7月に導入されました。フィードインタリフ導入国は世界で既に80か国以上ある中で、日本は周回遅れでの導入となってしまいました。その遅れをどう取り戻していけるのか、また、7月にフィードインタリフが始まってこの4ヶ月、日本で何が起きたのでしょうか。

<飯田さん>

世界で一番早くフィードインタリフを導入したのは1990年代始めのアメリカでした。次に、1990年のドイツにおいて電力の90%で買い取るという制度が始まり、風力発電は爆発的に広がりました。

その後デンマーク、スペインなどに広がった後に、2000年にドイツで全ての自然エネルギーのコストに応じて価格を決定する法案が成立しました。同じく2000年に日本では、私が中心となってドラフトを作ったものの実現しませんでしたが、2011年に自分の首をかけてくれた菅元首相の尽力で、やっと成立した経緯がありました。

フィードインタリフが成立して以降、日本各地に予想を超えるメガソーラーなどの計画がどんどん浮上し、原発2基分以上の発電力が生まれるのではと思います。それに伴い、停滞していた風力も活況になってきました。さらに、この制度によって、メガバンクなど銀行が再生可能エネルギーへの融資に積極的な姿勢へと変わってきたように思います。フィードインタリフを利用して電力を買い取ってもらうには、電力会社との契約が必要ですが、メガソーラーなどをこれから計画する場合、今年度中の成立は難しいと思います。電力会社は安定供給に対する姿勢が過度にあるため、手続きに時間がかかっているようです。

 

<森さん>

オバマ大統領が、4年前はグリーンニューディールを押し出していましたが、最近は声が小さくなったようです。日本の環境省もグリーンニューディールと言っていましたが、どうなるのでしょうか?

<飯田さん>

実際、米国のグリーンニューディールはそれなりに効果を上げています。しかし、米国では減税措置(裏返しのフィードインタリフ)によって風力発電を支援していたものの、ねじれ国会によって減税措置が切られてしまうことによって、今後風力がどう伸びるかが不透明となってしまうかもしれません。また、近年のシェールガス革命によってエネルギーコストが格段に下がっています。原子力もストップがかかっていますが、再生可能エネルギーも停滞していく可能性があります。

一方、日本のグリーンニューディールは、ただ初期投資に対する単なる補助金プログラムでした。それら補助金は、役所の担当者の交代や縦割り行政、規制などが相まって継続性がないものであり、日本の制度的な課題でした。ですので、フィードインタリフのような枠組みで支援するのは例外的なのです。フィードインタリフの次の制度として、送電のルールを整理することが求められています。

 

<森さん>

フィードインタリフ担当の、経産省の新エネルギー対策課の方に聞いてみたところ、3年はしっかり実施するが、4年以後は不明というニュアンスでした。買い取り価格は20年間一定の金額で電力会社が買い取ることになっていますが、来年3月末に買い取り価格の見直しで価格がガクッと見直されると、動きが急速にストップしてしまうのではないでしょうか。

<飯田さん>

実際、日本の買い取り価格の42円は世界的に見てもずば抜けて高いのです。ドイツは13円程度、イギリスでも20円前後です。世界的にも太陽光はコストが下がっています。普及するけれどもきちんと下がるという程度の価格設定が必要で、そのためには質の高いきちんとした研究が必要なのです。

徳島県などでメガソーラーなどを誘致する補助金制度などがありますが、地代を稼ぐモデルは価格を押し上げる要素であり、本来あるべきではないと考えています。デンマークの小規模分散型発電のように、エネルギーを売ることによって地域にお金が戻ってくるという仕組みが理想的なのです。ドイツやデンマークでは環境政策に関わる行政担当者が、何年も知識を蓄積させ、洗練された制度を作っているのに対し、数年で行政担当者が変わる日本では、制度を深めていけず、さらなる遅れをとる可能性があると危惧しています。

 

<森さん>

経産省の電力自由化委員長は、規制改革波の伊藤元重さんで、電力自由化については明確に打ち出しています。電力自由化することはほぼ確実ですが、どういう自由化になっていくかがキーとなるでしょう。

<飯田さん>

3.11前は、発送電分離の議論は禁句であり、許されていたのは小売のみの全面自由化だけでした。その頃に比べれば議論はかなり進んだと思いますが、電力会社の怖さを侮ってはいけません。今の委員会も中途半端で、発送電分離の種類の内、法的分離という持株会社の方向で検討しているようです。完全分離にすべきなのですが、この後自民党が政権を取ると、そこにはいかないでしょう。経産省がいくらやる気になっても、今までの組織の歴史から自分の職を賭してまで推進する人がいるかは疑問です。

発送電分離に向けた自由化にあたり、次の政権が改革的になって政治と官僚がチームを作って、日本の4割を占める東京電力を真っ先にやるべきです。それによって全電力会社の分離が促進され、全国的なナショナルグリッドが完成するでしょう。

 

<森さん>

改めて、我々が反原発とする理由を整理したいと思います。20年以上にわたる経済停滞を打破し、活力のある経済を作っていくには、原子力や化石燃料など一つのエネルギーに頼るのは危険であり、自然エネルギーを含めたエネルギー源の分散が必要なのです。それこそが、日本に求められるイノベーションではないでしょうか。

<飯田さん>

ドイツと日本を比較すると、ドイツは経済成長を70%しながらCO2は20%削減している一方、日本は経済成長が停滞しているにもかかわらずCO2は増え続けているなど、ここ10年・20年で大きな差が出ました。ドイツは環境エネルギー革命として、補助金ではなく仕組みとして経済の中に環境保全の枠組みを入れること、さらに環境の中に市場メカニズムをうまく活用すること、の両方を行い、マクロ統計の中でもデカップリング(経済成長と環境負荷の低減の両立)を成功させてきた経緯があります。

エネルギー多消費産業は、もはや経済の主役ではないにも関わらず、古いエネルギーモデルを主張し日本の足を引っ張っています。ですが、これから日本は、エネルギーを使わない産業が、生産性が高いイノベーターとして牽引し、ドイツのような創造的な経済に向かっていかなければならないのです。

 

<森さん>

日本では、ドイツの事例について多くの批判的見方をされることがあります。折角できた自然エネルギーの買取法をもとに、勝ち組をたくさん作り、明るい未来を示していくことが大切でのではないでしょうか。

<飯田さん>

ドイツについては、たちの悪い嘘が流布していますが、事実を見極めるべきです。Qセルズ(※)は確かに破たんしましたが、T型フォードが出たときに、500社もあった自動車産業はが優れた3社に収斂されていったことと同じと捉え、ドイツ人はそのことを気にしていません。

※Qセルズとは、ドイツの太陽光電池メーカーで、2008年には世界シェア首位を取るも、2012年に経営破綻した。

また、ドイツは、2つの付加価値創造モデルである、太陽光発電の最上流のところで次世代を担う技術パッケージを生み出すモデル、下流のところで国際的に競争力のあるプロジェクトディベロッパーモデル、両方のモデルで優れているので、これからも発展していくことが出来ると思います。

 

<質問者>

日本は電気はあって当たり前のもの、欧米は、自分で作るという意識があるように思いますが、どうなのでしょうか。

<飯田さん>

欧米と一括りにはできないとは思います。ドイツ・北欧では新しいことに知的好奇心と問題意識を持って臨むという姿勢を持っている人が多い印象はあります。これまでの10年は、自然エネが第4革命といわれて、エネルギーと産業においてメインストリーム化していきました。これからは、プロシューマー(※)として、次世代のビジネスモデルなど、さらなるの想像力が求められていると思います。

※プロシューマーとは、Consumer(消費者)とProducer(生産者)を合わせた造語で、製品の企画開発に携わる消費者のことである。

 年明けにISEP(環境エネルギー政策研究所)が中心となって開催する、国際会議がアブダビであり、世界の200人のエネルギーのビジョナリーへのインタビューをまとめたグローバルフューチャーレポートを発表します。これからのエネルギーの在り方を提示する予定ですので、楽しみにして欲しいと思います。

 

<森さん>

国民の意識について質問が出ましたが、オルタナでも「エネルギーと民主主義」をテーマとしました。まさに民主主義が問われているが、まだ日本は遅れていると言わざるを得ません。

電力の小売りの自由化は3年以内に行われるのではないかと思いますが、そうなると私たちが電力を選べる時代となります。自分は風力、地熱、といった選択肢が国民に与えられる時代が間もなくやってきます。一番大事なのは私たちの意思ではないかと思いますが、どうでしょうか?

<飯田さん>

現在、日本人は、原子力、電力、エネルギーに関する関心の高い国民になっており、大きな政治や社会そのものは変えていくベースはできています。東電の中にいる人がイノベーティブなことをするためにも、けじめはしっかりつけて、イノベーティブな人は新しいフィールドで新しいことをやる、というような社会になれば、ドイツ並みの創造力になる可能性は十分にあります。未来は十分我々の手の中にあると感じます。

<森さん>

最近は、いろいろ悲観的になることもあるりますが、本日集まった意識が高い参加者同士横のネットワークを作って、まとまりとなってビジネスしたり、他の会社からうらやましがられる存在になっていったりすることが、大事なのではないでしょうか。