1月30日、建築家の隈研吾さんによる講演がエコプラザで行なわれました。
建築関係者も大勢つめかけたこの講演では、隈さん自身の作品を中心に世界各地の事例をとおして、自然素材を用いた建築の可能性が語られました。
国内外で多くの作品を手掛け、外部環境ととけあう建築や自然素材をもちいた建築で名高い隈さん。
そんな現在の隈さんの建築を方向づけたきっかけは、21日に開催されたみなと森と水サミットにも登場した高知県・梼原町にあり
ました。
バブル崩壊直後、取り壊されると噂されていた梼原座という木造の芝居小屋を見学するために梼原町を訪れ
た隈さんは、木造のその建造物やまわりの棚田の美しさに心打たれます。
それが縁で、のちに梼原町から「雲の上のホテル」の設計を依頼されますが、その際に梼原町長から受けた注文が「できる限り梼原の杉材だけでつくってほしい」というものでした。
そこでコンクリートとはまったく違う自然素材をつかった建築の魅力と出会った隈さん。
その後は、各地の職人たちとともに、紙や土、竹などの自然素材を大胆にもちいた建築をつぎつぎと手がけていきます。
「自然素材に注目が集まりはじめ、建築にもちいるための技術も発達してきている」「日本には多様な自然素材とそれをあつかう高い技術をもった職人が各地にあまねく存在する。
それは石油枯渇後の大きな希望になる」と講演を結んだ隈さん。
その言葉は力強く響き、建築の新たな方向性を観客たちにはっきりと感じさせていました。
(毎日アースデイ新聞より転載)